Useful Engines
2018.02.13 Tuesday
いつか書くと言っていたきかんしゃトーマスのおはなし。
そもそも「きかんしゃトーマス」とは。
イギリスのウィルバート・オードリーという牧師さんが子供の頃から鉄道好きで、「機関車は感情を持っている」と想像して楽しんでいたそうです。
長じて彼は自分の子供にそういう物語を話して聞かせたり、手作りの機関車のおもちゃをあげたらそれを気に入った息子が「トーマス」という名前をつけました。それが「トーマス」の始まり。
オードリー牧師はイギリスの近くに「ソドー島」という架空の島を作り、トーマスたちはそこで笑ったり泣いたり走ったり、日々「役に立つ機関車(Useful Engines)」になるために頑張っているわけです。
要するにコミケだったら「鉄道擬人化」ジャンルです(台無し)。
私のトーマス史といえば、確か小学生の時クラスの本棚にあったトーマスの絵本を読んだのが最初で最後でした。
あまり細部は覚えていませんが、エドワードがいい奴でゴードンはいばりんぼだなと思ったことは憶えています。
そこから幾星霜。
私の知らない間にトーマスはいつの間にかテレビ放映が始まり、数年前からは模型からフルCGになり、毎年新作映画が公開され、面積でいえば択捉島と同じくらい…というとピンとこないんですが、東京都より一回り広いくらいと考えてください。そのくらいの面積のソドー島に総勢152(2015年出版本によるデータなので、たぶん今は200近い)もの人面機関車やら貨車やら重機やら船やらヘリコプターやらがひしめく世界になっておりました。こええ!!
機関車の正面に人間のような顔がついて普通に喋るというのは、私が見ると「うーーーん、今見るとキモいな」と思いまして、周りの女性たちに聞いても、
・私は好きじゃない
・正直グロいと思う
・子供が好きだから我慢してる
・そのうち「可愛い」とは…思えないけど、慣れるよ!
・人面機関車はちょっと…
という大変後ろ向きなコメントしか集まらなかったトーマスですが、なぜか一定数の男の子(1〜3歳くらい?もっと上にも好きな子はいるっぽいけどよくわからない)には人気のようです。
私が見ると何が怖いって夜の機関庫のシーンが一番怖いです。
機関車どもが放射線状にそれぞれ顔を前に向けながら収まっていて、なぜか下からライトアップされていて、色々話をしているわけです。ヒィイ!出くわしたら相当怖い!ただのホラー!イヤァァァ!!
…まあそれも「そういうもんだよね」と無理やり済ませます。
以下とにかくツッコむスタイル。
<事故>
事故る。とにかく事故る。
友人に「トーマスは戦わないから平和でいいよね」と言われましたが、そうじゃないんだ。戦わない分なにかイベントがないと話が作れないので、とにかく事故るんだ!それもどうしようもないことで!!
一例を挙げてみましょう。つい先日放送された「はやいぞ!あかいきかんしゃ」では赤いボディが自慢のジェームスが、自分がソドー島で一番はやい赤い機関車であるとうぬぼれ、ブレーキから変な音がしたので整備工場に行くも「なんか治った気がする」と自己診断して修理せずに勝手に帰り(工場にはジェームスから漏れたブレーキオイルの跡が…)、調子こいて坂道でスピードを出したらブレーキが効かなくて止まれず、そのまま機関庫に突っ込んで壁をぶち破りました。
ええ、そんなんです。
どうなの。
居直って「じこはおこるさ」という歌まで出来ている始末。
歌詞一部抜粋。
♪事故がほら起きるよ 突然さ
運がない時はしょうがない
なんとかしよう
事故がもし起きたら
落ち込まないで
うまくやれるようにがんばろうよ
事故は起きるものさ♪
………。
<半端なリアリティ>
機関車は自分では動けません(何故か喋るだけなら出来る)。よって必ず機関士が乗っていて、彼らに石炭をくべてもらったり水を補給してもらう必要があります。
…ですがその進行方向その他ともかく「意志」は完全に機関車(その他人面機械)のものとなっています。
どうなるかというと、
・トビー(機関車)とハンナ(客車)が喧嘩をして、「嫌になったトビーは、ハンナを置いていってしまった」というナレーションとともに、側線で止まったトビーからスタスタと機関士たちが降りて連結を切り離し、トビーだけ出発。せめて駅か機関庫で切り離せ。
・駅のスピーカーが壊れてアナウンスが聞き取れず、「なんとなくこうだと思う」と走り出す機関車たち。よって、海に行くはずが石切場に行ってしまったり、その逆になったり、様々な混乱が発生。…ダイヤの存在は…。
・「石炭補給しなくて大丈夫!まだいける!」と調子に乗るトーマス。酷寒の駅で燃料切れ。お客は全員降り、トーマスと客車だけ立ち往生。寒さのあまりハイになって歌い出す客車たち。こわい。
・新しいクレーンの噂を聞き、スクラップにされるのではと恐れるクランキー(クレーン)。人一倍働くことでアピールしようと思い立ち、一昼夜稼働し続ける。港の作業員たちは全員徹夜。トップハム・ハット卿(ソドー鉄道の局長)になんとかしてくれと訴える。…いや、アンタら帰れよ普通に。
こんな感じ。
これだけでもツッコミどころ十分ですが、先述の事故とかの時機関士はどうするのかとハラハラいたしますと、
ぶつかる寸前に飛び降りて逃げます。
どうなの!!!!?????
時速何キロだか知らないけどまあ100キロくらいは出てる機関車から飛び降りたら死ぬだろ普通。
ほんとに人なの…?ねえ…。
この機関士がらみのホラーとしては、「側線で忘れられていた」という設定の機関車が一台や二台ではないところも見逃せません。
機関庫じゃないんですよ。側線ですよ。普通に山の中とかに忘れられた機関車がポツンといるの。
なんでだよ!っていうかそこまで乗ってきてた人たちはどうしたの…?
その機関車の中から白骨死体が見つかっていないことを祈るばかりです。
<役に立ったこと>
まあこんなツッコんでばっかりも何なので、親友兼競馬師匠のありちゃんにかくかくしかじかでトーマスほんともうおなかいっぱいで辛いと訴えたところ、「伊坂幸太郎のマリアビートルに対する理解が深まるのでは」というアドバイスをもらい、昔読んだことあるなそういえばと思いつつ読み返してみました。
きかんしゃトーマス好きの「檸檬」という殺し屋が出てきてことあるごとにトーマスの話をするのです。
手短に戦果を述べますと、
・出てきた機関車は全部わかった(というかうちにある「きかんしゃトーマス大図鑑」に載ってた)
・エピソードはまあまあわかった(図鑑の「テレビシリーズあらすじ」を探したら載ってた)
・とある登場人物の二面性をトーマスキャラクターで表したところが、「ほほーーー」と思えた。でもその光景を思い浮かべると笑えた。
という感じでした。
ああ、伊坂さんちもお子さんがハマったんだろうなとしみじみしました。ただし、それを「トーマス好きの大人キャラクター」に昇華させるまでは伊坂さんも並々ならぬご苦労があったはず。伝説の機関車セレブリティーなんて440話(2015年時点)のテレビシリーズで1話かそこらしか出てきていないはずですし、小説で使ったエピソードはシーズン2のエピソードだったりするし(現在はシーズン22)、ああーもう調べるの苦労したんだろうなあ。
…と半ば同情したんですが、まったくトーマスに興味なかったうちの夫が、図鑑を買って読み聞かせるうちにヲタク魂に火がついたのか、ソドー島の面積を割り出したり、私に向かって「君は鉱山鉄道の仲間たちについては把握してる?ちなみに順番通りにいうとスカーロイ、レニアス、サー・ハンデル、ピーター・サム…このくらいはわかるよね?」だの「スクラフは蒸気機関車?ディーゼル?あ、わからないの?常識だよ?」とか大変鬱陶しい有様になりましたので、伊坂さんも案外楽しんでたのかもしれないですね!ちくしょう!!!
<役に立たないこと>
トーマスのアニメを見ていると、というか音だけでも聞いていると、すぐに「トーマスの汽笛だけは聞き分けられるようになる」という人生屈指の無駄スキルが身につきます。意味ない。
まだまだ言いたいことはありますがこのへんで。
ビバトーマスワールド。
そもそも「きかんしゃトーマス」とは。
イギリスのウィルバート・オードリーという牧師さんが子供の頃から鉄道好きで、「機関車は感情を持っている」と想像して楽しんでいたそうです。
長じて彼は自分の子供にそういう物語を話して聞かせたり、手作りの機関車のおもちゃをあげたらそれを気に入った息子が「トーマス」という名前をつけました。それが「トーマス」の始まり。
オードリー牧師はイギリスの近くに「ソドー島」という架空の島を作り、トーマスたちはそこで笑ったり泣いたり走ったり、日々「役に立つ機関車(Useful Engines)」になるために頑張っているわけです。
要するにコミケだったら「鉄道擬人化」ジャンルです(台無し)。
私のトーマス史といえば、確か小学生の時クラスの本棚にあったトーマスの絵本を読んだのが最初で最後でした。
あまり細部は覚えていませんが、エドワードがいい奴でゴードンはいばりんぼだなと思ったことは憶えています。
そこから幾星霜。
私の知らない間にトーマスはいつの間にかテレビ放映が始まり、数年前からは模型からフルCGになり、毎年新作映画が公開され、面積でいえば択捉島と同じくらい…というとピンとこないんですが、東京都より一回り広いくらいと考えてください。そのくらいの面積のソドー島に総勢152(2015年出版本によるデータなので、たぶん今は200近い)もの人面機関車やら貨車やら重機やら船やらヘリコプターやらがひしめく世界になっておりました。こええ!!
機関車の正面に人間のような顔がついて普通に喋るというのは、私が見ると「うーーーん、今見るとキモいな」と思いまして、周りの女性たちに聞いても、
・私は好きじゃない
・正直グロいと思う
・子供が好きだから我慢してる
・そのうち「可愛い」とは…思えないけど、慣れるよ!
・人面機関車はちょっと…
という大変後ろ向きなコメントしか集まらなかったトーマスですが、なぜか一定数の男の子(1〜3歳くらい?もっと上にも好きな子はいるっぽいけどよくわからない)には人気のようです。
私が見ると何が怖いって夜の機関庫のシーンが一番怖いです。
機関車どもが放射線状にそれぞれ顔を前に向けながら収まっていて、なぜか下からライトアップされていて、色々話をしているわけです。ヒィイ!出くわしたら相当怖い!ただのホラー!イヤァァァ!!
…まあそれも「そういうもんだよね」と無理やり済ませます。
以下とにかくツッコむスタイル。
<事故>
事故る。とにかく事故る。
友人に「トーマスは戦わないから平和でいいよね」と言われましたが、そうじゃないんだ。戦わない分なにかイベントがないと話が作れないので、とにかく事故るんだ!それもどうしようもないことで!!
一例を挙げてみましょう。つい先日放送された「はやいぞ!あかいきかんしゃ」では赤いボディが自慢のジェームスが、自分がソドー島で一番はやい赤い機関車であるとうぬぼれ、ブレーキから変な音がしたので整備工場に行くも「なんか治った気がする」と自己診断して修理せずに勝手に帰り(工場にはジェームスから漏れたブレーキオイルの跡が…)、調子こいて坂道でスピードを出したらブレーキが効かなくて止まれず、そのまま機関庫に突っ込んで壁をぶち破りました。
ええ、そんなんです。
どうなの。
居直って「じこはおこるさ」という歌まで出来ている始末。
歌詞一部抜粋。
♪事故がほら起きるよ 突然さ
運がない時はしょうがない
なんとかしよう
事故がもし起きたら
落ち込まないで
うまくやれるようにがんばろうよ
事故は起きるものさ♪
………。
<半端なリアリティ>
機関車は自分では動けません(何故か喋るだけなら出来る)。よって必ず機関士が乗っていて、彼らに石炭をくべてもらったり水を補給してもらう必要があります。
…ですがその進行方向その他ともかく「意志」は完全に機関車(その他人面機械)のものとなっています。
どうなるかというと、
・トビー(機関車)とハンナ(客車)が喧嘩をして、「嫌になったトビーは、ハンナを置いていってしまった」というナレーションとともに、側線で止まったトビーからスタスタと機関士たちが降りて連結を切り離し、トビーだけ出発。せめて駅か機関庫で切り離せ。
・駅のスピーカーが壊れてアナウンスが聞き取れず、「なんとなくこうだと思う」と走り出す機関車たち。よって、海に行くはずが石切場に行ってしまったり、その逆になったり、様々な混乱が発生。…ダイヤの存在は…。
・「石炭補給しなくて大丈夫!まだいける!」と調子に乗るトーマス。酷寒の駅で燃料切れ。お客は全員降り、トーマスと客車だけ立ち往生。寒さのあまりハイになって歌い出す客車たち。こわい。
・新しいクレーンの噂を聞き、スクラップにされるのではと恐れるクランキー(クレーン)。人一倍働くことでアピールしようと思い立ち、一昼夜稼働し続ける。港の作業員たちは全員徹夜。トップハム・ハット卿(ソドー鉄道の局長)になんとかしてくれと訴える。…いや、アンタら帰れよ普通に。
こんな感じ。
これだけでもツッコミどころ十分ですが、先述の事故とかの時機関士はどうするのかとハラハラいたしますと、
ぶつかる寸前に飛び降りて逃げます。
どうなの!!!!?????
時速何キロだか知らないけどまあ100キロくらいは出てる機関車から飛び降りたら死ぬだろ普通。
ほんとに人なの…?ねえ…。
この機関士がらみのホラーとしては、「側線で忘れられていた」という設定の機関車が一台や二台ではないところも見逃せません。
機関庫じゃないんですよ。側線ですよ。普通に山の中とかに忘れられた機関車がポツンといるの。
なんでだよ!っていうかそこまで乗ってきてた人たちはどうしたの…?
その機関車の中から白骨死体が見つかっていないことを祈るばかりです。
<役に立ったこと>
まあこんなツッコんでばっかりも何なので、親友兼競馬師匠のありちゃんにかくかくしかじかでトーマスほんともうおなかいっぱいで辛いと訴えたところ、「伊坂幸太郎のマリアビートルに対する理解が深まるのでは」というアドバイスをもらい、昔読んだことあるなそういえばと思いつつ読み返してみました。
きかんしゃトーマス好きの「檸檬」という殺し屋が出てきてことあるごとにトーマスの話をするのです。
手短に戦果を述べますと、
・出てきた機関車は全部わかった(というかうちにある「きかんしゃトーマス大図鑑」に載ってた)
・エピソードはまあまあわかった(図鑑の「テレビシリーズあらすじ」を探したら載ってた)
・とある登場人物の二面性をトーマスキャラクターで表したところが、「ほほーーー」と思えた。でもその光景を思い浮かべると笑えた。
という感じでした。
ああ、伊坂さんちもお子さんがハマったんだろうなとしみじみしました。ただし、それを「トーマス好きの大人キャラクター」に昇華させるまでは伊坂さんも並々ならぬご苦労があったはず。伝説の機関車セレブリティーなんて440話(2015年時点)のテレビシリーズで1話かそこらしか出てきていないはずですし、小説で使ったエピソードはシーズン2のエピソードだったりするし(現在はシーズン22)、ああーもう調べるの苦労したんだろうなあ。
…と半ば同情したんですが、まったくトーマスに興味なかったうちの夫が、図鑑を買って読み聞かせるうちにヲタク魂に火がついたのか、ソドー島の面積を割り出したり、私に向かって「君は鉱山鉄道の仲間たちについては把握してる?ちなみに順番通りにいうとスカーロイ、レニアス、サー・ハンデル、ピーター・サム…このくらいはわかるよね?」だの「スクラフは蒸気機関車?ディーゼル?あ、わからないの?常識だよ?」とか大変鬱陶しい有様になりましたので、伊坂さんも案外楽しんでたのかもしれないですね!ちくしょう!!!
<役に立たないこと>
トーマスのアニメを見ていると、というか音だけでも聞いていると、すぐに「トーマスの汽笛だけは聞き分けられるようになる」という人生屈指の無駄スキルが身につきます。意味ない。
まだまだ言いたいことはありますがこのへんで。
ビバトーマスワールド。
