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ガラモン教授

大学時代の恩師が「子連れでいいから遊びにおいで」と言うので、息子が歩けるようになるのを待って遊びに行くことにしました。
ベビーカーを押して大学に入るって違和感あるなあ。


恩師は自分の研究室で待っていてくれました。
こんにちはーと挨拶し、息子をベビーカーから下ろすと、彼からしたら知らないおじいちゃんのはずの恩師に向かってトコトコいきました。
アラマア。

「なにかあったかな。子供が喜びそうなもの…。ガラモンは好きかな。だめかな」

恩師は怪獣の類が大変好きなので研究室にはそこそこ怪獣の人形がありまして、以前恩師が一番大切にしているゴジラの人形で遊んでいたら悪いことをするなと叱られました(酷い)。

「ガラモンってなんですか」
「知らないのか」
「知りませんよ!」
「君は僕の研究室で何を学んできたの」
「…少なくとも怪獣ではありません」
「いかん…それはいかん」

なにがいかんのかよくわかりませんが、ともあれ息子はガラモンがそこそこ気に入ったようで適当に遊んでいました。
それを見る恩師は、私の知らない優しいおじいちゃんでした。

「ところで先生、私喉乾いた」
「そう」
「…そう、ではなくてなんかないですか」
「インスタントの甘酒と、ミルクティーと、生姜湯」
「普通のお茶はないのですか」
「そういえばあった。(がさごそ)ハイ。(ティーバッグ2つとカップを2つ手渡す)」
「…」
「給湯室の場所わかってるでしょ」
「そうですね。んじゃ息子見ててください」
「ハイハイ」

私が部屋を出て行ったら息子は泣くだろうなーと思ったのですが、豈図らんや楽しげに恩師の膝で抱っこされていた様子。
え、エエエエエ。初対面のおじいちゃんだぞ?流石にそれは想定外でした。

「…泣かなかったんですか」
「泣かなかったねえ」
「へえ…」

それから息子におやつを食べさせつつ、私たちもおやつを食べつつ色々と話をしました。
恩師は時折息子に話しかけてくれました。

「君はなにがやりたいのかなあ。なんでもやってみるといい」
「そうですね」
「でも怪獣好きに育てなさい」
「言ってること矛盾してるじゃないですか」
「君のお母さんは昔から変な人だった」
「余計なこと吹き込まなくていいです」

……あれ、書き出すといい話にならないな…なんでかな…………。

おやつを食べ終わると息子は椅子に座っているのに飽きたので、研究室というワンダーランドに探検に出ました。
私の知る限り、大学の個人研究室というのはものすごく整理されているか大変乱雑かのどちらかで中間がないのですが、当然我が恩師の研究室は後者なので色々とお宝を発見してくれました。

「おお、キングギドラ!よく見つけたな!これは怪獣好きに違いない。その辺にモスラの幼虫もいるぞ」
「…なんでそんなもんまで…」
「音の出るおもちゃがないな。つまらないかな」
「大丈夫です。その辺のもので遊べますので」
「なにがいいかな」
「人の話を聞いてください」

そして帰る間際になって私がカップを洗いに給湯室に行きますと、恩師と息子が後からトコトコついてきました。
腰を少しかがめて息子の後をついてくる恩師は、やっぱり私の知らないそこいらのおじいちゃんでした。

「またいつでも遊びにおいで。次に来る時までに、積み木を用意しておこう」
「(結局積み木になったのかと思いつつ)積み木があったら、学生さんたちが懐かしがって遊びますかね」
「いや、僕が遊ぶ」
「…そうですね。ボケ防止にいいんじゃないですか」
「君はまったく…ところで雨やんだかな」
「止んだみたいですよ」
「そうか。じゃあこれ畳んで(折り畳み傘を差し出す)」
「ハ!?」
「雨止んだみたいだから」
「自分で畳めないんですか。いつもはどうしてるんですか」
「学生が誰か畳んでくれるよ」
「………………そうやってすぐ学生に甘えて…」
「みんな介護の練習だと思ってやってくれるよ。だいたい僕が『ソフトクリーム食べたい』って言って買ってきてくれなかったのは瑠珠さんくらいだ」
「食べたいとは聞きましたが買ってきてとは聞いてませんでしたのでね!」

仕方ないのでたたみましたけどね、傘。私も大人になりました。

「この傘、生地が分厚くて畳みづらいです」
「だろう!?」
「自分で畳めない傘買わんでくださいよ…ヤレヤレ…」

最後は恩師の希望でそこいらの学生さんを捕まえてシャッターをお願いし、3人で記念撮影をしました。
「その写真、送ってよ」と恩師にせがまれました。
途中まで一緒に帰り、別れ際に恩師は「またいつでもおいで」と私ではなく息子に向かって何度も言ってくれました。
残念ながら彼が大学に通う歳になる頃には恩師はとっくに引退しているので、それまでに何度か連れてこられたらいいな。


「怪獣好きに育てなさい。かつての師の教えに背くでないぞ」
「………ハイハイ」


やたら怪獣推しだなと思いつつ、私の知らないおじいちゃんの顔を見せた恩師を少し微笑ましくも寂しくも思いつつ、来られてよかったなと思いました。
ところでガラモンって結局何(エー)。
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かんざき * 職場(学校)にて。 * 23:57 * comments(3) * trackbacks(0) * - -

コメント

たぶん、かんざきちゃんが思ってるよりは「いい話」になってるよ、うん。

…ガラモンは、私にもわからない(苦笑)。
Comment by あり @ 2017/04/07 11:47 AM
え、なんでガラモン知らないの・・・?

というかもう歩けるんですか。まじですか。
時の流れは残酷ですね。

では、次は絵本ではなくソフビで。
Comment by j-oh @ 2017/04/07 10:33 PM
>ありちゃん
い、いい話になってる?なってるかなー?どうも不安だ。ありがとう!
ガラモン、わかんないよねえ。
見た感じピグモンだったの。いや、ピグモンもよくしらんけど。

>閣下姫
おう!おめでとう野郎!(罵る)
なんでガラモン知ってるのさ。

もう歩けますよー。RPGの村人のように歩きっぱなしですよー。
早いっすねー。

…ソフビか………ありがとうよ…つかはやくーーー!!!
Comment by かんざき @ 2017/04/08 12:04 AM
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